FAQ (日本語)
この記事の目的は、Archや自由ではない他のGNU/LinuxディストリビューションからParabolaに移行したユーザーから、よく寄せられる質問への回答を提供することです。
システム全体を自由なものに置き換えることによって発生する問題について説明します。システムの技術的な詳細については、Arch FAQを参照してください。
Contents
- 1 パッケージ
- 1.1 Archで利用可能な◯◯というパッケージがないのはなぜですか?
- 1.2 ◯◯というパッケージは、対応するArchのものとどのように異なりますか?
- 1.3 共有ライブラリが見つからない、もしくは依存関係が解決できないエラーメッセージが表示される理由は?
- 1.4 Parabolaに移行した際、自由ではないAURパッケージは削除されますか?
- 1.5 Parabolaが自由ソフトウェアライセンスで提供される全てのAURとArch Linuxのパッケージを再利用しないのはなぜですか?
- 1.6 LaTeXにおいて不足しているフォントに対してのエラーメッセージが表示されます。文書を生成するためにはどうすれば良いですか?
- 1.7 RARアーカイブを抽出(解凍)するにはどうすれば良いですか?
- 1.8 パッケージを更新できない
- 2 ハードウェア
1 パッケージ
1.1 Archで利用可能な◯◯というパッケージがないのはなぜですか?
これは通常、そのパッケージが自由ではないか、自由に関する問題を含んでいることを意味します。 ParabolaはGNU FSDGに準拠しているため、プロプライエタリなソフトウェアを含まず、公式のリポジトリからそれらを入手することはできません。 Parabolaにおいて削除されたパッケージを確認するには、blacklist.txtというファイルを確認してください。
$ grep package_name /usr/share/doc/your-freedom/blacklist.txt
1.2 ◯◯というパッケージは、対応するArchのものとどのように異なりますか?
パッケージに自由ではないものが含まれているか、自由ではないソフトウェアを推奨しているか、ブランド化されていると言った理由で変更されます。個別のパッケージがどのように変更されたのかを確認するには、blacklist.txtというファイルを確認してください。
$ grep package_name /usr/share/doc/your-freedom/blacklist.txt
より詳しい情報は、[libre]でパッケージをビルドするために使用されるPKGBUILDをabslibre.gitリポジトリをクローンして取得する必要があります。ArchのWebサイトから対応するパッケージのPKGBUILDを取得し、diffを実行してください。
1.3 共有ライブラリが見つからない、もしくは依存関係が解決できないエラーメッセージが表示される理由は?
この節は、プログラムを実行した際に発生する次のような形式の共有ライブラリが見つからないエラーと、
/usr/lib/qtcreator/plugins/libQbsProjectManager.so: Cannot load library /usr/lib/qtcreator/plugins/libQbsProjectManager.so: (libqbscore.so.1.14: cannot open shared object file: No such file or directory)
パッケージをインストールする時や、pacmanを使用してパッケージの更新を行うときに発生する次のような形式の依存関係を解決できないエラーについて説明します。
error: failed to prepare transaction (could not satisfy dependencies) :: installing clang (10.0.0-2) breaks dependency 'clang=9.0.1' required by qtcreator
多くのプログラムは、システムにインストールされている外部ライブラリに依存しています。一部のプログラムは、そのプログラムがコンパイルされた環境に用意されていた特定の外部ライブラリの、特定のバージョンでのみ動作するようになっています。
このような外部ライブラリのひとつがArch側で更新されると、しばらくしてParabola側のリポジトリに取り込まれ、以前の外部ライブラリに依存するプログラムが動作しなくなる場合があります。
これらの問題は通常、新しいバージョンの外部ライブラリをインストールし、プログラムを再コンパイルすると解決します。最も簡単な方法は、更新された依存する外部ライブラリのバージョンをダウングレードするか、AbsLibreツリーから該当するパッケージのビルド用のレシピを取得し、`makepkg -irs`を使用してパッケージを自分で再構築することもできます。いずれの場合も発生した問題については、課題追跡システムでParabolaのハッカーに報告してください。そうすれば誰かが修正に取り組むことができます。
1.4 Parabolaに移行した際、自由ではないAURパッケージは削除されますか?
削除されません。ParabolaはAURに関与しません。Parabolaに移行した後、インストールされているAURパッケージを確認し、自由ではないパッケージを手動で削除する必要があります。AURパッケージはユーザーの手で手動でビルド、インストールされるため、以下のコマンドによってAURかそうではないかを判別できます。
$ pacman -Qm
一部のAURパッケージは[pcr]という名前が付けられ公式のParabolaリポジトリに組み込まれます。必要なパッケージが見つからない場合で、それがFSDG標準を満たしている場合、メーリングリストの「Assist」 か、課題追跡システムの「パッケージリクエスト」のセクションのいずれかでParabolaに追加するよう以来してください。
一部のユーザーがAURパッケージのブラックリストを依頼しましたが、ほとんど作業が行われていません。この詳細については、バグレポートと未完成のAURブラックリストをご覧ください。
1.5 Parabolaが自由ソフトウェアライセンスで提供される全てのAURとArch Linuxのパッケージを再利用しないのはなぜですか?
ParabolaはFSDG(自由システムディストリビューションガイドライン)(GNU FSDG)に準拠しています。 このガイドラインの要件は、ディストリビューションが100%完全に自由ソフトウェアであることのみを要求しているわけではありません。
例えば以下のケースがあります。
- 不自由なグラフィックスドライバーをインストールすることを前提とした完全に自由なソフトウェアが存在します。
- 自由なソフトウェアライセンスのパッケージにおいて不自由なファームウェアが含まれているパッケージが一部存在します。
- ハードウェアと直接関係しないパッケージでさえ、不自由なFAT実装のような不自由なコンポーネントを含むことがあります。
ParabolaとFSDGガイドラインは、ディストリビューションが実行するものについて明確な線引きを設定することで、このような脅威から保護します。 例えば、
- ディストリビューションによって提供される全てのパッケージは自由ソフトウェアでなければならず、ユーザーに不自由なソフトウェアのインストールを促してはなりません。
- Parabolaと、そのパッケージで使用される全てのリポジトリもFSDGガイドラインを尊重する必要があります。
このような線引きがない場合、多くのユーザーは100%自由ソフトウェアで構成されるディストリビューションを使用する際、不自由なソフトウェアを取得することができ、間違って不自由なソフトウェアをインストールしてしまう可能性があると誤解してしまうでしょう。
ParabolaはユーザーがWebブラウザを使用して不自由なソフトウェアをダウンロード、およびインストールすることを妨げません。ただし、多くのWebブラウザには自由なものと不自由なものが混在したアドオン(拡張機能)のリポジトリがあるため、代わりに完全に自由なアドオンのリポジトリを使用するようにパッチが適用されます。
パッケージの目的を解釈するプログラムの実装は複雑になるため、そのプロセスを自動化することも複雑になります。また、ソースコードにどんな種類のバイナリが存在するかを解釈するためには、多くのファイルフォーマットを解釈する必要があります。
Parabola自体が完全に自由なソフトウェアであり、不自由なソフトウェアのインストールを推奨しないようにしていても、既にコンピューター上に導入されているParabolaによって管理されていない不自由なソフトウェアから保護することはできません。たとえばほとんどのコンピューターのBIOS、UEFIは自由ではなく、Parabolaはそれらからユーザーを保護しません。この脅威から自分を守るため、FSFにはハードウェアの認定を行うRespects Your Freedomと呼ばれるものがあります。このような認定されたハードウェアを使いたい場合には、使用したいディストリビューションで動作するかどうかも確認してください。
Parabolaは複数のinitシステム(systemd、OpenRC)をサポートしているため、可能であればOpenRCをサポートするようPKGBUILDにパッチを適用する必要があります。
1.6 LaTeXにおいて不足しているフォントに対してのエラーメッセージが表示されます。文書を生成するためにはどうすれば良いですか?
自由の問題と互換性のないライセンスを理由に、一部のフォントがTexLiveディストリビューションから削除されました。異なるフォントや異なるTexエンジンを使ってください。詳細は、TeXLiveをご覧ください。
1.7 RARアーカイブを抽出(解凍)するにはどうすれば良いですか?
unrarコマンドは不自由なソフトウェアのためParabolaにはありません。bsdtar -xfコマンドが使用できます。pacmanはそのコマンドを提供するlibarchiveに依存しているため、標準でシステムにインストールされています。残念なことに、RARアーカイブのいくつかの追加機能を処理することはできません。その場合unarchiverを試すと良い結果が得られる可能性があります。
1.8 パッケージを更新できない
Pacmanトラブルシューティングをご覧ください。
2 ハードウェア
2.1 Nvidiaのグラフィックスが動作しないのはなぜ?
最近のNvidiaグラフィックカードを持っている場合、この問題が起きる可能性があります。 Nouveauがまだあなたの持っているグラフィックカードをサポートしていないかもしれません。Nouveauでサポートされているかどうかを確認するには、最初に次のコマンドの結果からコードネームを探します。
$ lspci | grep VGA
次にCodeNamesを見てデコードします。最後にFeatureMatrixでグラフィックカードのサポート状況を確認できます。
2.2 ATI/AMDのグラフィックスがradeon、amdgpuドライバーでまったく機能しないのはなぜ?
Linux-LibreでまだサポートされていないATI、AMDのグラフィックカードを使用している場合、この問題が起きる可能性があります。サポートの状況の詳細は、Libreplanet wikiのGroup:Hardware/research/gpu/radeon ページをご覧ください。
グラフィックカードがサポートされている場合、マルチディスプレイ、ネイティブ解像度で動作させることが可能ですが、ハードウェアによる3Dアクセラレーションとビデオデコードは機能しません。それらを有効にするためには自由なファームウェアの実装が必要となります。
2.3 移行後にWi-Fiアダプターが機能しなくなったのはなぜ?
Wi-Fiカードはファームウェアを使用して動作するのが一般的です。ファームウェアがない場合、ほとんどのカードはまったく機能しません。大抵の場合ファームウェアはプロプライエタリであるため配布していません。これは内蔵Wi-Fiカードで一般的に起きることです。
この問題の解決策は、内蔵されているWi-Fiカードを交換するか、以下のような自由なファームウェアを用いるUSB接続のWi-Fiワイヤレス機器を使用することです。
Atherosチップセット:
- USB接続のWi-Fiアダプター:
- 内蔵のPCI・PCI-Expressカード:
RTL818xチップセット:
- USB接続のWi-Fiアダプター:
- 内蔵のPCI・PCI-Expressカード:
h-nodeデータベースで検索することで、自由ソフトウェア、scripts/deblob-$verで正常に動作することが確認されたWi-Fiアダプターを見つけるか、scripts/deblob-$verによって分解したLinuxソースツリー内からブロブを含んでいるために自由ソフトウェアで動作しないWi-Fiアダプターのブラックリストを確認することもできます。または、Respect Your Freedom Hardware Listを確認してください。このリストには、自由ソフトウェアと互換性のある外部接続、内蔵のWi-Fiアダプターが多数含まれています。
ParabolaにおけるWi-Fiドライバーとファームウェアのサポート状況は次のとおりです。
ドライバー | インターフェース | 通信 | サポート状況 |
---|---|---|---|
ath5k | PCI, PCIe, PCMCIA | 2.4GHz, a/b/g |
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ath9k | PCI, PCI-E, PCMCIA, Wi-Fiアクセスポイントのチップに統合 | 2.4GHz, 5GHz, a/b/g/n |
|
carl9170 | USB | 2.4GHz, no 5GHz?, a/b/g/n |
|
b43, b43-legacy | PCI, PCI-E, PCMCMIA, or integrated in WiFi access point chips. | a/b/g/n |
|
rtl818x, rtl8xxxu | PCI, USB |
| |
rt2400pci, rt2500pci | PCI |
| |
rt2500usb | USB |
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airo | b |
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最もテストされているドライバーは、ath9k、ath9k_htc、ath5kです。